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2026.09.24

三条市で受け継がれる刃物づくり|五十嵐刃物工業の強みとは?火打鍛造と職人技でつくる「使うための道具」

新潟県三条市は、長い歴史の中で金属加工や刃物づくりの技術が受け継がれてきた地域です。

その三条市で、刈込鋏や剪定鋏、鉈(なた)など、さまざまな刃物を製造しているのが五十嵐刃物工業株式会社です。

五十嵐刃物工業の特徴は、伝統的な火打鍛造を受け継ぎながら、職人の技術と現代の設備を組み合わせていること。

さらに、製造工程を社内で担う一貫生産体制や、時代に合わせた製品開発にも取り組んでいます。

今回は、取材をもとに、五十嵐刃物工業の特徴や強み、三条市で受け継がれる刃物づくりへのこだわりを紹介します。

五十嵐刃物工業とは?

五十嵐刃物工業は、新潟県三条市で刈込鋏、剪定鋏、鉈、木鋏などの園芸刃物を製造している会社です。

長年にわたって刃物づくりに取り組む中で、大切にしてきたのが「道具は使って初めて価値が出る」という考え方。

五十嵐社長は、刃物について

使って初めて価値が出てくるという感覚を持って、ものづくりに励んできた

と話します。

刃物は、飾っておくためのものではありません。

実際に手に取り、仕事や作業の中で使われ、役割を果たしてこそ、その価値が生まれます。

だからこそ、五十嵐刃物工業では、切れ味だけでなく、手に馴染むことや長く使えることまで含めて「道具としての価値」を追求してきました。

「使って初めて価値が出る」を貫くために

一方で、刃物を取り巻く環境は、昔と同じではありません。

原材料価格の上昇に加え、海外製品との価格競争も厳しくなっています。

五十嵐社長は、道具として使える品質を追求する一方で、高すぎれば選ばれにくくなるという「品質と価格」のバランスの難しさについても話していました。

さらに、作業そのものが変化し、手工具から電動工具などへ移行する場面も増えています。

これまで手工具が使われていた作業でも、便利さや効率を求めて電動工具が選ばれるようになり、手工具を取り巻く市場にも変化が生まれています。

だからこそ、これまで培ってきた技術を守るだけではなく、その技術を「これからどのように使ってもらうか」を考えることが重要になっています。

五十嵐刃物工業の強みは?4つの特徴

五十嵐刃物工業の主な強みは、次の4つです。

  1. 製品づくりを支える一貫生産体制
  2. 伝統技術「火打鍛造」でつくる刃物
  3. 伝統と現代技術を組み合わせるものづくり
  4. 切れ味を支える、刃物づくりの工程

伝統技術を守るだけではなく、これからも使われる刃物をつくるために、技術や設備、製品づくりを進化させています。

特徴①|製品づくりを支える一貫生産体制

五十嵐刃物工業の大きな強みの一つが、一貫生産体制です。

刃物づくりには、鍛造だけでなく、熱処理や研磨、刃付け、組み立てなど、さまざまな工程があります。

五十嵐刃物工業では、こうした工程を社内で幅広く担っています。

一貫して製造に関わることで、製品の品質やものづくりの技術を自社で維持することにつながります。

後継者不足などによって、これまで依頼していた加工や部品の確保が難しくなる可能性もあります。

だからこそ、自分たちでつくり続けられる体制を整えることも重要です。

一貫生産は、単なる製造方法ではなく、これからも刃物づくりを続けていくための基盤にもなっています。

五十嵐社長も、

ものづくりを続けていくためには、自分たちの技術を自分たちで維持していくことが重要

と話します。

外部環境の変化によって、これまで当たり前だった技術や加工をいつでも利用できるとは限りません。

だからこそ、社内に技術を残し、次の世代へつないでいくことが、これからのものづくりには必要になります。

特徴②|伝統技術「火打鍛造」でつくる刃物

五十嵐刃物工業を語るうえで欠かせないのが、火打鍛造です。

火打鍛造とは、加熱した金属を加工する伝統的な鍛造技術です。

五十嵐刃物工業では、この技術を刃物づくりに取り入れています。

取材では、鍛造工程において、鉄の状態や色を見ながら加工を進める場面についても伺いました。

金属の状態を見極め、適切なタイミングで加工する。

そこには、機械だけでは対応できない、職人の経験や判断力が必要となります。

長年積み重ねてきた技術が、五十嵐刃物工業の刃物づくりを支えています。

特徴③|伝統と現代技術を組み合わせるものづくり

五十嵐刃物工業は、昔ながらの技術だけに頼っているわけではありません。

火打鍛造を受け継ぐ一方で、熱処理や機械加工、製造設備なども活用しています。

大切なのは、すべての工程を手作業で行うことではなく、製品ごとに必要な技術を組み合わせ、より良い刃物をつくることです。

職人の経験や感覚が必要な工程がある一方で、機械や設備を活用することで、品質を安定させられる工程もあります。

伝統技術と現代の設備。

それぞれの特徴を生かしながらものづくりを行うことが、五十嵐刃物工業の特徴です。

特徴④|切れ味を支える、刃物づくりの工程

「よく切れる刃物」というと、最後の刃付けをイメージする人も多いかもしれません。

しかし、刃物の切れ味は、一つの工程だけで決まるものではありません。

素材選びから鍛造、熱処理、研磨、刃付けまで、それぞれの工程がつながっています。

また、製品によって求められる性能も異なります。

太い枝を切る刃物と、草や芝生を切る刃物では、同じ刃では対応できません。

取材では、製品の用途によって刃付けの角度や調整方法が異なることも伺いました。

さらに、刈込鋏のように2枚の刃を組み合わせる製品では、刃の動きを左右する「合刃」の調整も重要になります。

用途に合わせて、形や性能を変える。

それが、「使うための道具」をつくる五十嵐刃物工業のこだわりです。

長く使い続けられる刃物をつくる

五十嵐刃物工業が大切にしているのは、製品を販売して終わりにすることではありません。

刃物は使い続ける中で、少しずつ刃が傷んでいきます。

しかし、適切に手入れや再生を行うことで、再び使い続けることができます。

取材では、刃物は再生の仕方によって、さらに切れ味を追求できるという話も伺いました。

だからこそ、最初の素材や製造工程が重要になります。

使う、手入れをする、そして、長く使い続ける。

五十嵐刃物工業のものづくりには、「一度使って終わりではない道具づくり」という考え方があります。

変化する時代の中で、新しい用途・製品を探す

「使って初めて価値が出る」という考え方を守りながらも、使われる環境そのものは変化しています。

手工具から電動工具へ。

国内だけでなく海外製品との競争へ。

さらに、原材料価格の上昇など、ものづくりを取り巻く条件も変わっています。

そうした中で五十嵐刃物工業が取り組んでいるのが、これまで培ってきた技術を新しい分野で生かすことです。

例えば、園芸用の刃物だけでなく、アウトドアなど新たな分野にも目を向けています。

五十嵐社長は、

業態やお客様の購買行動の変化に合わせ、専門性を追求したブランドと、量販店などで手に取ってもらうことを意識した製品を展開している

と話します。

これまでの技術をそのまま守るだけではなく、

「この技術を、今の時代ならどこで、どのように使ってもらえるのか」

を考える。

それが、新しい製品やブランドを生み出すための考え方につながっています。

お客様の声に応えるオーダーメイド

五十嵐刃物工業では、オーダーメイドにも対応しています。

お客様から、

「こんなものが欲しい」

「こういう用途で使いたい」

といった相談を受けることもあります。

完成した形が最初から決まっているとは限りません。

話を聞き、試作を行い、調整を重ねながら形にしていきます。

取材では、お客様の困りごとに対応することが、新しいものづくりにつながる可能性についても伺いました。

これまで培ってきた鍛造や刃物づくりの技術があるからこそ、さまざまな要望に向き合うことができます。

技術を次の世代へつなぐ

五十嵐刃物工業がこれから向き合うテーマの一つが、技術の継承です。

鍛造や刃付け、調整など、経験が求められる工程は数多くあります。

こうした技術は、短期間で身につくものではありません。

取材では、現場で働く社員の方からも、実際に作業をしなければ覚えられないという話を伺いました。

手を動かす。

失敗する。

工夫する。

そして、できなかったことができるようになる。

その積み重ねが、職人としての技術につながっていきます。

一方で、職人の高齢化や人材不足は、ものづくり業界全体の課題でもあります。

だからこそ重要になるのが、現場で培われてきた技術や判断力を、次の世代へどのようにつないでいくかです。

長年の経験が必要な技術もあるからこそ、実際に現場で働きながら学び、少しずつ身につけていくことが重要になります。

まとめ|伝統と進化を組み合わせ、「使うための道具」をつくる

五十嵐刃物工業のものづくりをまとめると、次のようになります。

  • 「使って初めて価値が出る」という道具への考え方
  • 火打鍛造をはじめとする伝統技術
  • 熱処理や機械加工などの現代技術
  • 製造工程を社内で幅広く担う一貫生産体制
  • 用途に合わせた刃付けや合刃調整
  • 長く使い続けるための刃物づくり
  • 市場の変化に合わせた新しい用途・製品への挑戦
  • オーダーメイドを通じたお客様の要望への対応
  • 技術を次の世代へつなぐ取り組み

そこにあるのは、「昔の技術をそのまま残す」というだけのものづくりではありません。

道具としての価値を守りながら、変化する時代の中で技術の生かし方を考え、必要なものをつくり続ける。

そして、その技術を次の世代へ渡していく。

三条の地で受け継がれてきた刃物づくりは、これからも「使う人」のために形を変えながら続いていきます。

よくある質問(FAQ)

企業情報

五十嵐刃物工業株式会社の事業内容や採用情報について詳しく知りたい方は、公式サイトもぜひご覧ください。

企業名五十嵐刃物工業株式会社
所在地新潟県三条市金子新田丙646番地1
設立昭和18年5月
事業内容各種刈込み鋏、各種ナタ、剪定鋏、木鋏等の園芸刃物製造
公式サイトhttps://www.kanenori.com/index.html
公式SNS公式Instagram

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